車があれば


『川原にいるからすぐ來い、今すぐ來い』

一方的に自分の用件だけ云って 電話は切れた

電話の相手は瑞垣

しょうがない奴だと思いつつ

いつも云う事を聞いてしまう

お互い大學に入ってから忙しくて 逢う事もままならない

そんな罪惡感からつい

瑞垣の我が侭も氣にならなくなる

ちょっと甘いかな

そう思いながらも 逢えるだけで嬉しい

何日ぶりだっけ

話したい事も澤山ある

川原に着くと

草むらに寢転んで瑞垣がいた

のんびり煙草を吸っている

“おまたせ” そう云うと

あからさまに嫌そうな顏をする

“なんで自転車なんぢゃ”

“なんでて、車はもっとらんのぢゃ”

“おやじさんのでも借りてこいや。大体其の自転車、まだ乘っとるんか”

“うるさいな、俊こそ免許取れよ”

“俺はバイトで忙しいんぢゃ”

此の暑いのにふたり乘りかよ

ぶつぶつ云いながらも 後ろに乘る

“出すぞ、しっかり掴まってろ”

暑いとはいえ まだ夏は始まったばかり

吹いて來る風は心地いい

“デェトに自転車はないぢゃろ秀吾クン、嫌われちゃうぞ”

“まだ云うか、大体あの電話の何處がデェトのお誘いだよ”

デェトだよぉ 背中でくすくすと笑う

“うち來るぢゃろ”

“ん”

“初めから其のつもりだったんぢゃろ”

“ん”

“聞いとるんか?”

“秀吾の背中はソォダの匂い〜♪”

唄う樣にそう云う

久し振りに瑞垣の体温を 背中に感じる

くすぐったくて ドキドキする

預けて來る体重の こころよい重さ

自転車だって 惡くないぢゃろが

瑞垣だって そう思ってる筈

“車があれば、青カンしなくてすむのにぃ”

“なっ!!・・・ した事ないぢゃろがっ!!”

“試してみるか?”

“!!!”

後ろで必死に笑いを堪えているのが判る

まったく コイツはーーー

“俺は此のままでええんぢゃ、車がなくてもっ”

そう云うと

秀吾らしいと また笑われた



20040727

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「車があれば」 大江千里

このタイトル使って 何か書きたいなぁ  コミカルな感じで門瑞かなぁ

で 出來たのが此れです

19の初夏

野球業界の事はよく解らないので 門脇はおミズと大學いってます

出て來ないけど 一希さんも一緒です(笑)

しかし

なんぢゃぁ 此の甘さはて感じです
   
そしておミズの一言で えらい事になる處でした・・・