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* スヰイトミルクチョコレェト *
其の日部室は 朝から賑やかだった ドアを開けると おはようを云う暇もなく 東が満面の笑顏で訊いてくる 「豪と原田ももちろん参加するぢゃろ?」 * 其の日海音寺は悩んでいた 始まりは朝の校門だった 小野先生を見付け あいさつをしようと近づくと いきなり手を取られ 小声でこう云われた 「ほんとは不可ないんだけど コレ、 みんなにはナイショねっv」 早口でそう捲し立てると 何かを手に握らせる 開いてみると 手の中に収まるほどの小さな凾 きれいに包装されており リボンまで付いている よくは知らないが 包装紙から外国のチョコレェト店のものだと判る 「先生此れ・・・っ」 顏を上げた時には 小野先生の姿は無かった 譯が判らないまま教室に行く 昨夜は少し夜更かしをしてしまったな 風邪ではないが 喉が少しいがらっぽい 受験生なんだから 氣を付けないと そんな事を考えながら ひとつ咳をつく 「どうした海音寺、風邪か?」 クラスメイトが訊いてくる 途端にまわりのみんなも 「なにっ 風邪だと、其れはいかん」「大丈夫か」 などと 集まりだす 「俺、のど飴もってるぞ」「俺も俺も、ほら ミルク味のやつ」 「えー、海音寺くん風邪なの? あたしチョコレェト持ってるよ」 「あたしもっ。はい、此れ食べて栄養付けてね」 「チョコレェトボンボンもあるよ」 あっと云う間に机の上は 飴やらチョコやらでいっぱいになってしまった 「あ・・・ど、どうもありがとう」 礼を云うと みんなは口を揃えてこう云った 満面の笑顔で 「いーえっ、どういたしましてっv」 昼休み 校長室に呼ばれる 「受験勉強は頑張っていますか。君の樣な優秀な生徒は我が校の誇りです」云々 長々と語られる 「處で、戴き物のチョコレェトが有るのですが。 受験生は栄養を付けて受験を乗り切らないとね、ひとつ如何ですか?」 「校長先生、其れはちょっと」 「そ、そうだね・・・そうですよね。いえ、すみませんでした」 あからさまにがっかりした顏をする 何かおかしい 其の後、廊下を歩いていると2年の女子達に呼び止められ 「海音寺先輩っ、此れ調理実習で作ったんです、チョコチップクッキィ。食べてください」 「私のはチョコレェトケェキですぅ」「私も。上手に出來たんですよ」 「私のも食べてください」「私のも美味しいですよ」 と 両手に抱えるほど菓子を貰う 果ては男子生徒まで 「海音寺センパイ、腹へってませんか?はい、ポッキー。あーん」 「俺も、きのこの山あげますよ」 氣が付くと何時の間に入れられたのか 鞄やポケットからも菓子類が出てくる 明らかに何かおかしい みんな何を企んどるんぢゃ? 極め付けは 今擦れ違ったオトムライ 「なんぢゃ海音寺、顏色が惡いぞ。受験生ぢゃろ、氣を付けろ。ほら」 と 手渡されたカロリィメイト チョコレェト味・・・ 「海音寺」 呼ばれて振り向くと 展西が立っていた 「ああ、展西。ちょっと聞いて呉れよ・・・」 「海音寺、甘いもの好きか?」 唐突に訊いてくる 「え?あ、ああ」 「此れ、貰って呉れないか」 差し出された板状の またしてもチョコレェト! なんぢゃ此れは?いったい如何なっとるんぢゃ? 「展西、此れはいったい・・・」 云い掛けて 其の餘りの悲愴な顏に 言葉を飮み込む 「要らなかったら捨てて呉れ」 睛を逸らしてそう云う 「・・・いや、ありがたくいただくよ」 引きつり笑顏でそう答えると 展西は安心した樣に 少し笑った ま いいか こいつが喜んで呉れるなら しかし 變な日ぢゃ 今日は * * * 「“2月14日は海音寺さんにチョコレェトを!!”? なんぢゃそりゃ」 「俺、此の日をずっと樂しみにしとったんぢゃ!」東が嬉しそうに云う 「學校の傳統行事ぢゃ。なんてったって海音寺さんは、學校のアイドルぢゃからな」と沢口 「そうなんぢゃ♪ ルールはひとつ、渡すのはチョコでも飴でも何でもいいんぢゃが、 本人にヴァレンタインだと氣付かせちゃだめなんぢゃ。お返しが大變ぢゃからな」 「ふつう 其れ氣付くだろ」 巧が呆れた樣にそう云うと 沢口が 「其れが3年の先輩に訊いたら、さっぱり氣付かんのぢゃと」 「あの人、そう云う人なのか?」 「原田うるさい。其處が海音寺さんのええとこなんぢゃ。 其れより、今年は大胆にもラッピングして渡したやつがおるんぢゃと。 あー俺もリボンくらい付ければよかったあ。リボンリボン、誰かリボン持ってるやついないかっ」 「落ち着け東」豪が宥める 「おまえらも一緒に渡すんぢゃからなっ」 「はいはい」 豪は諦めた樣に 両手を挙げる 隣で巧が小さく溜め息を付いた * * * 2月14日 其れは新田東中の學校を上げて行われる行事 “海音寺さんにチョコレェトを!!”の日(本人にはナイショ) 20040719 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 眞夏に溶けそうな話ですみません キャラの性格も設定も溶けてますが・・・ “學校のアイドル”な一希さんが書きたかったのです するとどうしてもこんな風に でもちょっと あほうすぎますね一希さん(泣) そして ほんのり展海風味・・・ 狙ってません 念の爲 |