+ 月魚 +  三浦しをん

“その細い道の先に、オレンジ色の明かりが灯った。”
で始まる
“水底の魚”
外の世界とは切り離された時間の中に存在する樣な
古書店“無窮堂”
年若き店主 真志喜と幼馴染の瀬名垣
過去に起きた出來事により
お互い罪惡感を抱きながらも離れられず
其れ以上近づく事も出來ない
そんな危うい関係を
何年も保っています

古書店と云う閉ざされた空間の
近寄り難さ
密やかさ 靜けさが
此の話の舞台にぴったりだと思います

連絡を取らなかったり
必要な時しか逢いに來なかったり
互いに試し合うふたり
大切なものを失うのを怖れて生きる瀬名垣に対し
真志喜は強いです
此のふたり
見た目とは逆の樣です
素直になれないけど
瀬名垣の事を待っている真志喜は
可愛いです

この本を讀んで
古書店を継ぐのにも才能が必要だったり
師匠に付いて修行したりするのだと
初めて知りました
古書業界って奥が深い

實は此の本
あとがき目当てで購ったのでした・・・
だって あさのあつこが書いている
あさの先生は
普段 児童文学を書いていらっしゃるので
其れ以外の文章を讀んだのは
“バッテリ”あとがきが初めてでしたが
此れがおもしろい
こんな文章も書ける方なんですね
是非 大人向けのお話も
描いて頂きたいたいものです

もちろん
本編もおもしろかったですよ
特に
真志喜たちの高校時代を書いた
“水に沈んだ私の村”
こんな学校生活を送ってみたかった と云う理想が
此處にあります
にしても
おとなしそうな顔して やるな真志喜
確信犯なのか?
そして
瀬名垣の威嚇が好いです



20040702〜10