+ プラネタリウムのふたご +  いしいしんじ

ある村のプラネタリウムに捨てられたふたご
解説員“泣き男”によって
テンペル・タットルと名付けられ
プラネタリウムで育ちます
やがてふたりは はなればなれになって・・・

電車で鼻を ぐずぐずさせながら讀みました
ファンタヂィだと思って讀みはぢめたら
いきなり 死体や私生児など
生々しい現実が描かれていたり
かと思うと  「まっくろくておおきなもの」 の存在を信じ 恐れ
村の伝統やしきたりを みんなが守っていたり
リアルとファンタヂィが混ざり合っていて
舞台の 表側と裏側をいっしょに見ているようなイメェヂかな

ファンタヂィなら 華やかな表側だけを書けばよいのでしょうが
近視でまだらに毛の抜けた 老馬や
両足のない男が登場し
見ては不可ないものを見てしまった樣な氣持ちになってしまうのは
其れらが象徴するものが
目を背けられない現実だからでしょう
奇跡なんて起こらないのです
悲しいけれど・・・

“だまされる才覚がひとにないと、
この世はかっさかさの、笑いもなにもない、
どんづまりの世界になってしまう。”

だから
より多くだまされるほど ひとはしあわせなのだと
だとしたら 
此れを讀んで ボロボロしてる私は
とびきりの倖せ者です
みごとにだまされていますよ  いしい先生

育ての親 泣き男が
息子たちに云って聞かせる言葉が
愛情にあふれていて ぐっときます
ほんとの親子の樣に お互いを思いやっています
いい子に育ってます

好きなシーンは
タットルがテンペルから來た手紙を讀むところ
とても神聖な儀式の樣です

そして 泣き男が初めて泣くシーン
いつもはおだやかな彼が
激しく
獸の樣に泣く姿に
胸がつぶれそうになりました
思い出しただけで また・・・
随所に 心に來るセリフがかならずあります
ハンカチ必携!!

あと 村はずれに住む老女が
愚痴ってばかりいる ただの氣難しい老人だと思っていたら
此れがもう  かっこいい!
去り際はあざやかに
こんな人生 あこがれちゃいます

そして氣になる
泣き男の おだやかで 通りのいい低い声
テオ座長の 絹手袋のようになめらかな声
どんな声なんでしょう
  泣き男は
田中秀幸あたりを 想像したのですが
絹手袋て どんなよ? わからん

ぜひ 讀んでみてください
ただし
出版社が在庫切れしてるそうなので
書店の在庫のみです
見つけたら即買い をおすすめします
て 出版社の回し者か


20040603〜0617